ジェンダーの話:Xジェンダーのカミングアウトと周囲の反応

セクシュアルマイノリティであることを自覚すると、カミングアウトについて考えた人も多いのではないでしょうか。

カミングアウトはとても勇気のいることです。それについて情報を集めているあなたはとても勇敢な方です。

今回はFtX不定性(女性⇔中性)及びパンセクシュアルであることを最近になって自覚した私が周囲にカミングアウトしたときのことについてお話します。

カミングアウトする対象とその反応

カミングアウトを考えた時の一番の不安はその相手から拒絶されるかもしれないという恐怖でした。

なので最初から私自身のことをよく知っていて何か変化があってもそれを個性として受け入れてくれるであろう人にだけ話すことにしました。

そういう期待のもとでカミングアウトしているので、拒絶されていたらそのショックは相当大きかったと思います。今思えばなかなか博打だったかもしれませんね。受け入れてもらえたのはとてもありがたいことです。

家族

家族へのカミングアウトは、小さい頃から成長を見られている分とてもハードルが高いです。ここは家庭環境や関係性にもよると思いますが、私には家族だからこそ自分のことを知っておいてほしい気持ちがありました。

そのため家族の中ではまず最も仲の良い姉にFtX不定性でパンセクシュアルであることを話し、次に母親にFtX不定性であることだけ伝えました。

母親になぜパンセクシュアルであることを伝えなかったかというと、昔に同性愛に対する多少の嫌悪感を示していたからです。拒絶される可能性が他の信頼できる人に比べてやや高かったので、部分的に伝えて様子をみることにしました。

(父になんで言ってないんだろう……除け者にされてるみたいでちょっと可哀想だな……)

反応:「ふうん。」

自分なりのことばでなんとか説明したあとは姉も母も「ふうん。」と言っていました。どうでもよさそうな、でも何か考えているような、微妙なニュアンスに戸惑ったのを覚えています。

すべてを伝えた姉は「Xジェンダー」「パンセクシュアル」という言葉の定義から理解しようとしてくれました。私の性質をよく理解しているので、悩みに悩んで至った結論なのだということを理解していたのか「あまり考えすぎるなよ」とも言ってくれました。

ふたりともその後の関係に特に変化はありません。しかし家族のなかでセクシュアルマイノリティとしての自分のことをちゃんと知ってくれている人がいるということは若干の安心感をもたらしてくれている気がします。

友人

当時はFtX不定性の自覚が原因で職場で傷つくことが多かったので、それについて信頼できる人に相談したくて特定の友人たちへのカミングアウトに至りました。

姉に真剣に話して身構えさせたことを少し反省したので、友人たちにはできるだけフランクにいつもの調子で最近気づいたことあるいはそれに伴う相談として話しました。

反応:「私も無意識にそうやって人を傷つけているかもしれない。」

複数の友人たちに相談しましたが、この反応を示したのは一人ではありませんでした。

このように自分を省みさせるような意図は全くもってなかったのでとても申し訳ない気持ちになりました。それと同時に私の信頼している友人たちがいかに誠実な人々であるか改めて実感しました。ありがたいことですね。

パートナー

自分がFtXかもしれないと分かったときに真っ先に相談したのはパートナーでした。

パートナーはシスジェンダー男性の異性愛者です。すなわち、私がFtXであることを知ったら恋愛対象外になってしまうのではないかととても不安になったのです。

限界まで悩みぬいた直後にその恐怖から泣きつくように相談してしまいました。

反応:「またなんか言うてるで!」

これは私の伝え方が悪かったと思いますが、彼は基本的にお調子者なので茶化すように「またなんか言うてるで!」と言って背中をさすってくれました。

このままでは一時の気の迷いとして流されると判断したので、後日真面目に自分がFtX不定性であること、どういう時に女性でありたいか、あるいは中性でありたいか自覚している範囲のことを伝えました。

その時も調子よく「へー!」と言って聞いているだけでしたが、その後中性的な性表現を褒めてくれたり色々と気にかけてくれたりしていると感じるので、ちゃんと伝わっているようです。本当にほっとしました。

職場

職場でのカミングアウトはしませんでした。

仕事をする中で、この人たちとは仕事以上の関係性になれそうにないと判断していたからです。

もし職場でも信頼できる人がいたなら、その人にはカミングアウトしていたのかな。セクシュアルマイノリティのコミュニティによると、そうしている方もいらっしゃるようです。

調べてみるとどうやら多様性を尊重する企業の中にはカミングアウトすることで福利厚生が受けられる企業もあるとか。それについては色々思うところもありますが、メリットとデメリットを天秤にかけて判断することになるのでしょう。

カミングアウトするのもしないのも個人の自由

周囲の信頼できる人にカミングアウトすることで、自分のことを知ってくれている人がいるという安心感が生まれ多少生きやすくなる部分があるのは事実です。

しかし、人それぞれ違った環境や性質と生きているので、一概にカミングアウトする方がいいよ!などとは決して言えません。

カミングアウトするかしないかは個人の自由として尊重されるべきだと思います。

また、ジェンダーはまだ日本ではオープンな話題ではないので、伝え方によっては身構えさせてしまったり茶化されてしまったりします。カミングアウトする場合は相手がどういう反応を取るかある程度予測して、その人が聞きやすい伝え方を考えるのも大切かもしれませんね。

よかったら皆さんのお話も聞かせてください。

コメントでもMessageでも、いつでもお待ちしています。

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